目次
児童福祉施設とは?
児童福祉施設とは、児童の健全な育成t自立等を支援するために児童福祉法に規定された施設を指します。
早速、どんな種類あがあるのか見ていきましょう!
助産施設
経済的な事情により、必要があるのにも関わらず入院助産を受けることができない妊産婦を入所させて、助産を受けさせる施設です。主に産科病院や助産所が助産施設として指定されています。
助産施設では、出産に要する費用の一部または全部が助成されるほか、妊産婦の実情をよく把握している保健所の職員、児童福祉司、社会福祉主事、児童委員、医師、助産婦などとの相互連絡も指導されています。
利用するには?
利用にあたっては要件があり、お住まいの区の福祉保健センターこども家庭支援課などに相談する必要があります。
費用は?
助産施設の費用は、所得に応じて自己負担を求められる場合があります。たとえば、神戸市では、市民税非課税世帯は一部負担金(97,600円)が必要で、文書料や差額ベッド代、パジャマなどの実費も自己負担となります。また、京都市では、単身世帯やひとり親世帯、障害者世帯などに該当する場合、基本額が免除され、利用料金は97,600円となります。
助産施設に入所する前に相談や申請を行い、市から助産施設入所措置の決定を受ける必要があります。世帯の課税状況により利用制限や費用負担がある場合もあります。
乳児院
乳児(児童福祉法では、乳児は「1歳未満の者」)が保健上、生活環境上の理由により家庭で適切な養育を受けることができない場合に入所させて安定した生活環境を確保し養育します。併せて退院したものについて相談その他の援助を行うことを目的とした施設です。
特に理由がある場合は幼児(一歳から小学校就学の始期に達する者)を入所させることも可能です。
どんな支援を受けられる?
乳児院ではおむつ替えや食事、病気のケアなど、子供の生活に関わる全てのことも対応してくれ、季節ごとのイベントやお誕生日のお祝いなど「家庭」の役割も提供してくれるところが多いです。
乳児院に入院する理由は、親の死別や病気・出産による入院などがあげられます。親御さんの実家が遠方の場合、夜間の預け先はなかなか見つけにくいので、乳児院を利用するケースがあります。また、残念なことですが、虐待や親の養育拒否、精神疾患など家庭の問題を抱えるケースもあります。こういった事情を抱える家庭の代わりに、一時的に子供を預かり親御さんや子供のサポートをしていきます。近年では、虐待が理由で入院してくる子供が増加しているようです。
保育園との違いは?
保育園と違う点は、乳児院は24時間365日体制であることや、医療従事者などの専門スタッフがチームとなってフォローしている点があげられます。
乳児院では、虐待を受けてきた子どもなどさまざまな事情を抱えた子どもが多く、保育園以上に子ども1人ひとりに寄り添ったケアが必要です。保育士の仕事は、通常の保育園で行われる保育の仕事に加え、夜間の対応や子どもたちの介助業務など、多岐にわたります。また、保護者への支援や、児童相談所など各種機関との連携をとる窓口の役目も果たしています。
退所後はどうなる?
乳児院から退所する子どもたちの行き先は、約半数が家庭、2割近くが里親家庭、他は児童養護施設など次の施設となっています。その際にも家庭であれば面会・外出・外泊、里親家庭であればマッチング、施設であれば事前交流など、次の養育者に“子どもの育ち”のバトンを『つなぐ』ことを常に意識した取り組みが求められます。
利用にかかる費用は?
乳児院は公費で賄っていて、その一部を世帯収入に応じて負担する仕組みになっているので、保育料の算定に近いイメージです。保育園と異なる点としては、食費やおむつ代がかからないところです。乳児院の利用料の目安は、1日あたり1000円~5000円程度と利用しやすい価格帯になっており、生活保護世帯は乳児院の利用料が無料です。
児童養護施設
保護者のいない児童、虐待されている児童、その他環境上、家庭で適切な養育を受けることができない児童を入所させて養護し、自立のための支援をする施設です。原則1歳以上から18歳未満の児童が対象ですが、場合によっては乳児も入所することも可能です。
2021年時点で全国に約600施設あり、約2万3,000人の子どもが暮らしています。入所手続きは、都道府県等に設置されている児童相談所が公的責任のもとで行っています。
児童養護施設では、虐待を受けた子どもは53.4%、何らかの障害を持つ子どもが23.4%と増えていて、専門的なケアの必要性が増しています。
また、入所児童の平均在籍期間は4.6年ですが、10年以上の在籍期間の児童が10.9%となっています。
具体的にどんな支援が受けられる?
児童養護施設では、生活指導や学習指導、家庭環境の調整などを行い、子どもたちが協調性や思いやりの心を育みながら生活できるように支援します。また、退所した児童に対しても相談や自立のための援助を行うことを目的としています。
入所するには?
児童養護施設への入所は、都道府県などに設置されている児童相談所が公的責任のもとで行います。入所の手続きは、次のとおりです。
- お住まいの地域の児童相談所などに相談する
- 児童相談所が対象の子どもや家庭を調査、事実確認などを行う
- 必要に応じて、判定員による心理判定や医師による診断(無料)を行う
- 調査判定等の結果を受けて児童相談所で会議した結果、施設入所が必要とされれば入所することができる
かかる費用は?
児童養護施設の入所費用は、前の年の所得税の額によって決定します。
会社員であれば、会社から毎月天引きされているのであまり気にしないかもしれませんが、大体年収が300万の人の場合は、所得税が年間54,700円(毎月約4500円)引かれています
2人以上を預ける場合は、2人目からは毎月支払う費用に0.1をかけた額になります。
例えば、年収300万円の夫婦が2人を預ける場合は、
- 1人目は毎月14,000円
- 2人目は毎月12,600円(14,000円-1,400円)
になり、2人合わせて26,600円となります。
2人目以降は、少しだけ安くなるということですね。
自治体の取り組みで、児童養護施設などの児童福祉施設に対して助成金制度を設けているところもあります。千葉県船橋市では、入所にかかる費用の一部または全額を助成してくれる制度があります。
自治体での助成に関しては、自分の住んでいる地域の自治体HPや問い合わせを行なって確認してみると良いでしょう。
母子生活支援施設
シングルマザーまたはこれに準ずる事情にある母親及びその児童を保護し、生活を支援し、自立を促すための施設です。近年、夫からの暴力などの理由で入所するケースが増加しています。
就労、家庭生活及び児童の教育に関する相談及び助言を行う等の支援を行い、 各母子世帯の居室のほかに集会・学習室等があり、母子支援員、少年指導員等の職員が配置されています。
施設退所後も、相談やその他の援助を行うことが児童福祉法に明記されています。
利用条件
母子生活支援施設に入所できるのは、配偶者のない女性または夫がいてもDVなどの理由から生活を共にすることが困難な女性と、養護する18歳未満の子どもです。母子が一緒に利用しなければならず、母子分離の場合は児童相談所など他機関の支援対象となります。
利用可能な期間
母子生活支援施設を退所するのは、入所者が抱える課題が解決でき安定した生活が送れるようになったタイミングや、子どもが18歳に達したときとなっています。また、復縁や再婚がきっかけとなる場合もあるようです。
利用料
利用料は世帯の収入に応じて異なります。生活保護を受けている世帯は無償で利用できますが、住民税非課税世帯は月額1,100円、課税世帯は2,200円から段階的に増額し、所得が多ければ最大で全額徴収となります。
入所方法
母子生活支援施設に入所するには、まず住んでいる市区町村にある福祉事務所で相談します。相談内容をふまえて適切なサービスや施設についての説明を受けてから、申し込みをおこないます。
児童発達支援センター
障害児の通所支援を提供することを目的とした施設です。主に「医療型」と「福祉型」の2つがある。
福祉型は身体や知的、精神に障害のある児童が日常動作や集団生活に対する訓練を行います。 一方、医療型は上肢、下肢または体幹機能に障害のある児童がそれらの障害の治療を受けながら発達支援も受けるために通う施設です。
児童福祉法に定められている障害児通所支援には以下のようなものがあります。
- 児童発達支援
- 医療型児童発達支援
- 放課後等デイサービス
- 保育所等訪問支援
- 居宅訪問型児童発達支援
障害児入所施設
身体的・知的・精神的障害のある子どもを対象とした施設で、保護や日常生活の指導、自活に必要な知識や技能の付与などを行っています。障害児入所施設には「医療型障害児入所施設」と「福祉型障害児入所施設」に分けられます。
福祉型障害児入所施設では、家庭での養育が困難な子どもを対象に、食事や入浴、排せつなどの身体介護や、日常生活を送るうえで必要な技能訓練、知識の習得などの支援を行います。また、入所児童にとって施設が第2の家庭となるよう、育ちの支援や愛着関係形成の支援、発達の支援、進路の支援なども行われます。
医療型障害児入所施設では、医学的な治療が必要な子どもを対象に、子どもたちの障害の状態に合わせた支援を行います。最終目標としては、退所後の自立に向けて子ども自身が障害特性を理解し、障害と向き合って生きていくこと、支援が必要な際にご自身で声を上げられることを目指してサポートしていきます。
原則は18歳までですが、必要と認められた場合は満20歳まで継続して入所することが可能です。
児童心理治療施設
軽度の情緒障害児(感情や気分を自分でコントロールすることができずに、学校や社会生活に適応することが難しい状態のことを示す言葉)を短期間入所させ、もしくは保護者の元から通わせて、治療をする施設です。
退所した児童についても、相談援助を行ったりします。
費用なども年収によって変動します。児童相談所などを通じて入所手続きをすることが大半です。
治療とはどのようなことをするのか?
施設全体が治療の場であり、施設内で行っている全ての活動が治療であるという「総合環境療法」の立場をとっています。
具体的には ①医学・心理治療 ②生活指導 ③学校教育 ④家族との治療協力 ⑤地域の関係機関との連携を治療の柱とし、医師、セラピスト(心理療法士)、児童指導員や保育士、教員など子どもに関わる職員全員が協力して一人ひとりの子どもの治療目標を達成できるよう、本人と家族をを援助していきます。
児童自立支援施設
不良行為をなし、またはなす恐れのある児童、家庭環境その他理由により生活指導などを要する児童を入所、もしくは保護者の元から通わせて必要な指導を行い、自立を支援する施設です。退所後の相談援助も行います。
対象年齢は18歳までで、約1400人の子どもたちが生活をしています。
施設への入所の経緯としては、「施設からの措置変更」と「家庭からの直接入所」の2種類があります。
他の児童福祉施設からの入所の場合、その施設に入所している子どもたちが、施設在籍中に不良行為や犯罪行為を行い児童相談所の措置により入所します。
家庭からの入所の場合も、上記と同様の理由で入所します。
全体の約57%が家庭からの入所となっています
支援内容
生活支援
児童自立支援施設は職員と児童が共に生活し育ちあう、「共生共育」を基本理念として、その多くは寮舎の中で職員と寝食を共にしていく事で、職員と子どもたちとの関係を密にしながら規則正しい生活を送っています。 清掃を始めとする環境整備や、農作業などを通じて集団の中で自律性や協調性を身に着けて、自立していく力を養っている施設が多くあります。
学業支援
児童自立支援施設の敷地内に施設の近隣の小中学校の分校が併設されており、義務教育に相当する期間の学習環境が保障されています。 家庭での虐待環境など、不適切な養育環境や生育の過程で、学校に行けていない子どもたちも多くいます。 その為、基礎学力の習得を中心に学習を行っています。 学校に行っている時間以外にも学習時間を設けている施設も多く、職員と子どもたちが関係作りをする大切な時間にもなっています。
アフターケア
児童自立支援施設から退所する場合、約6割は家庭に戻り、一般高校に入学したり、就職して行きます。 児童自立支援施設への入所は18歳までとなっていますが、義務教育終了時の年齢までが入所期限になっている施設もあり、地域の児童養護施設に入所先を変更して新しい環境で生活していく場合もあります。 いずれの場合も新しい環境に向けた心構え始め、少しずつ退所へむけて準備を進めていきます。 退所後は児童相談所や、他の福祉行政や福祉施設等と定期的に連絡を取り合いながら、退所後の生活の様子を見守っていきます。 必要に応じて相談に応じたり、関係機関と連携しながら支援を行っていきます。
児童家庭支援センター
家庭や地域住民などからの相談に応じて助言・指導を行うとともに、児童相談所や児童福祉施設などとの連絡や調整を担う機関。逼迫する児童相談所の業務を補完すると共に、より地域に密着したきめ細やかな相談支援を行うことを目的として設立されます。
2022(令和4)年6月15日現在、全国167センターが協議会に加盟しています
児童厚生施設
児童厚生施設とは、児童に健全な遊びを与えて健康を増進し、情操を豊かにすることを目的とした施設です。
屋内型の児童館や児童センター、屋外型の児童遊園などがあります
18歳未満の子どもが自由に利用することができます。
保育所(保育園)
保育を必要とする乳児・幼児を保育することを目的にした施設です。非認可保育所・認可保育所があり、以下の図のような違いがあります。※保育士バンクを参照
認可か非認可によって、契約の対象が市町村になったり保育所と直接になったりするなどの違いがあります。
保護者の就労のみならず、妊娠・出産、病気や怪我、障害、介護、災害などにより保育を必要とする時に申し込むことができます。
現在、保育所は全国に2万3896箇所あり、特定地域型保育事業、幼稚園型認定こども園、幼保連携型認定こども園等を合わせると、3万9244箇所となって今す。
里親支援センター
里親に関する普及啓発や里親の相談に応じた情報の提供、助言、研修その他援助などの里親支援事業を行うほか、里親等及びその養育される児童(以下「里子等」という。)並びに里親になることを希望する方について相談その他の援助を行い、家庭養育を推進するとともに、里子等が心身ともに健やかに育成されるよう、その最善の利益を実現することを目的とする児童福祉施設です。