出産は多くの女性にとって人生の中で最も喜び溢れる瞬間の一つですが、同時に多くの肉体的、精神的な挑戦の始まりでもあります。特に初めての出産後は、多くの母親が未知の育児への不安や身体の変化に直面します。こうした時期に適切なサポートを提供する「産後ケア」の重要性は計り知れません。この記事では、産後ケアの基本から、その必要性、産後ケアサービスの特徴まで、詳しく解説していきます。
産後ケアとは?
定義と目的
産後ケアとは、出産後の母親が直面する身体的および精神的な課題に対してサポートを提供するサービスの総称です。出産は大きな身体的負担が伴い、心理的にも不安定になりやすい重要な時期です。産後ケアの主な目的は、この時期に母親が健康を取り戻し、新生児との新しい生活に適応できるよう支援することにあります。適切な産後ケアを受けることで、産後うつのリスクの軽減や、母乳育児の成功率の向上が期待できます。
【産後ケア施設で受けられるサポート内容】
- ママの心のケア…ママの不安や悩みの相談、育児不安の軽減、カウンセリングなど
- ママの体のケア…休息や睡眠時間の確保、食事の提供、体のトラブルへの情報提供、マッサージ、骨盤ケアなど
- 適切な授乳のためのケア…授乳・搾乳の指導やアドバイス、乳房マッサージなど
- 育児についての指導や相談…沐浴・おむつ替え・着替え・抱っこ・離乳食の指導やアドバイスなど
- 生活面での相談や支援…産後の生活における悩みの相談、地域の情報提供、保育サービス・保育施設の情報提供など
最近では産後ケアホテルを利用する方も!
不安やストレスを抱える方も多い産後生活の始まりに、ホテルの快適さに加え、子育てのプロのサポートを受けることで、自分自身の心と身体を整えながら過ごせる場所です。
中国や韓国ではあたり前になっているこのサービスも、日本でも広がり始めています。出産後、病院を退院すると慌ただしくスタートする新生活も、手厚いサポートやサービスによってゆとりを持って迎えることができます。
産後ケアの種類
産後ケアにはいくつかの形態があり、それぞれ異なるニーズに応じたサービスが提供されています。
- 日帰り型(デイケア):産後ケアセンターやクリニックで日中のみサービスを受ける形式です。専門スタッフによる育児指導や心のケア、体のマッサージなどが行われます。
- 宿泊型(ショートステイ):産後ケア専門施設に短期間宿泊し、24時間体制での全面的なサポートを受けられます。特に夜間の赤ちゃんのお世話をサポートしてもらえるため、母親は十分な休息を取ることができます。
- 訪問型(ホームケア):専門のスタッフが自宅を訪れて、個別のサポートを行います。授乳指導や赤ちゃんのお世話、母親の心のケアなど、一人ひとりの状況に合わせたサポートが可能です。
産後ケアの認知度について
専門のケアホテルを運営するマムズ(東京都)はこの日に合わせ、産後ケアの認知度や育児に関するアンケートの結果を公表しました。対象は20~70代の男女2千人。
産後ケアについては、出産経験・予定がある20~30代女性で「知っている」と答えた人が72%。同世代の女性全体でも52%と半数を超えました。
一方、同じ世代の男性の認知度は37%。出産についての関心のジェンダーギャップが現れた結果と言えるかもしれません。
この世代の女性の67%が「産後ケアを利用したい」と回答。理由としては、産後うつの経験があるから/上の子の産後が大変だった/心理的に親に頼りたくない/自分に持病があるためサポートがほしい、といったものがありました。
出産後のケアが大切だという認識は広まりつつあります。しかし子どもがいる40~70代の男女、つまり祖父母世代に「孫が生まれたらサポートできますか」と質問したところ、40%が「出来ない、自身がない」と回答しました(「自信がある」は29%)。 理由としては、年齢・体力的に/仕事をしているから/気を遣うので/自分の体調が好ましくない/介護中のため/昔と育児知識が変わっているから、など。老後も働き続ける人が増えたり、平均寿命が長くなって「老々介護」のケースが増えたりと、祖父母世代を取り巻く環境もひと昔前と比べて変わっている側面があります。
今回の調査で、産後に親のサポートが受けられる環境が減少している傾向も見えてきました。
このような社会背景からも、家庭外の産後ケアの重要性が高まりつつあります。
もし、産後ケアについて相談したい場合はお近くの自治体などに問い合わせしてみてください。
児童発達支援事業所「インクル」では、産後ケア事業も行なっております。ぜひ、お気軽にお問い合わせくださいませ。